年をとるって楽しいよ〰!

と、私の周りのオトナたちは皆口を揃えて言う。

数年前から、自分が年を取ることについて全く関心が無くなってしまった私としては不思議だったんだけど、年をとるごとに忙しくなっている周りの方々を見ていると、そんなものなのかしら、なんて漠然と思っていたのも確か。

週末、久しぶりに湘南市民コールの土曜日の練習の伴奏へ行った。

合唱指揮者の清水敬一先生は「年を取るって楽しいよ〰!!」の代表者で、そして年々生き生きしていらっしゃるから私も実感を持って ああいう年のとり方がしたいな、と思う。

清水先生とは私が大学1年生の頃から毎週のように練習や本番で伴奏させていただいて、先生の指導の方法などにも随分と影響を受けたなぁと今では思う。でももちろん真似は全然出来てない、たぶん一生出来ない。

先生は、絶対に威圧することなく、あくまで楽しく練習を進める。

ピアニストの私としても楽しいような、巧みな話術と膨大な知識で紡がれたお話も沢山聞かせて下さるが、一見あまりにかけ離れた話題で「コレ何の話だ?どこに繋がるんだ?」と思っていると、必ず着地するのは演奏の注意点だったりする。とんでもない技術である。

そして、何だか楽しく終始笑いに包まれて練習が進んで行くのに、最初の演奏と最後の演奏ではみんなの演奏が全然違うんだ(これは市民コールの皆様の勘の良さ・反応力の素早さも もちろん要因の一つとしてある)。

まぁ誰にでも真似できることではないと断言できる。

そんな先生と市民コールの皆様と、土曜日は松本望さんの「天使のいる構図」を練習した。

その練習の最中、私は何度も何度も「年を取って良かった」と今までにない実感を持って、本当に、心の底から思った、特別な経験をしたのでブログを書こうと思い立った次第なのです。(※前置きが長い)

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「天使のいる構図」は、合唱界隈で知らない人は居ないのでは?というそれはそれは素晴らしい作品で。何が素晴らしいって、とにかく谷川俊太郎さんの詩の魅力が1億倍になるような曲がつけられていること。(松本望さんがこの曲を作曲されたのは、なんと今の私と同じ頃だそう…!!)

私は今まで詩の魅力ってそこまで分からず(川崎洋さん詩、湯山昭さん作曲の「息づく日々」は、もう初めて聴いたときから心が鷲掴みにされ離れなかった…とか特例はあるが)、

どうしてもピアニストという悲しい性質上、言葉より音の魅力で合唱曲も聴いてしまっていた。

以前、市民コールの団員の方で仲良くさせていただいていた方が、

 

「夕焼け小焼けの歌詞が物凄くぐっと来る年になった。

若い頃は自分自身が光源のようなものであり、光と表裏一体で存在する影の気持ちは考えてもいなかった。

年を取り、影の部分になってみた今、やっと分かるようなことが沢山ある」

というようなことを仰っていて、それが今、初めて文章に起こせるほどずっしりとした実感を持って私の頭の中から離れない。

(※意訳です。その方も物凄く頭のキレる、それでいて音楽を物凄く愛している方なので、数年前の今より更にポワポワしていた私なんぞがちゃんと理解できていたのかは怪しい。解釈超絶間違っていたらどうしようと恥ずかしいのですが)

音楽の持つ力だけではなく、言葉の持つ力を知った。

それは私が光源から影になりつつあるということなのかもしれない、でもそれは悪いことなんかではない。

土曜日の練習では、なんて良い詩なのだろうと心震えながら終始弾いていた。こんなこと初めてだった。

そんなふうに、言葉に胸を震わせられるようになったのは、年をとったからだ、と気付いたのです。

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市民コールからの帰り道「年を取って良かったと思うことってなんだろう」と色々考えてみた。

①自分の好きなものを自分で買えるようになった

②色んなことを知りたいという欲求は年々増している

③詩の良さが分かるようになってきた

④曲の良さが胸に突き刺さるようになった

⑤実感を持って、ピアノを演奏できるようになった

たった15分くらいの帰路だったので、あまり深くは考えられなかったが、このくらい挙がった。

逆に後悔してることってあるかな?と考えたけど、英語をもっと勉強すれば良かったとか、作曲の勉強をしておけば良かったとか、海外に行けば良かったとか、、

え、どれも今からでも出来るじゃん、と思った。

そんなようなことを帰宅後、夫に話していたら

「結局、言葉や音楽の良さが分かるようになるというのはイメージ力の問題だと思うんだよね。

そのイメージ力は、色んな経験によって培われるから、年をとるとどんどん分かるようになるのでは」

というようなことを言われた。

私もそう思う。そしてその”経験”というのは、必ずしも”実体験”である必要はない、とも思う。

小説を読んだり、映画を観たりして疑似体験したっていい。

実際に私は、小説や映画に何度も助けられている。

それは私が道を踏み外しそうになったときに軌道修正する機会になったり、私が体験し得ないことを主人公が体験して見せてくれたり、知らない国のことをまるでその地に降り立ったみたいに紹介してくれたり、する。

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「文ちゃんのブログは情報量が多すぎて読みにくいよ。情報を薄めて広げて、何回かに分けて書いたら良いのに」

と夫に言われましたが、私は好きで書いているだけなので(※夫が読んでいるようなビジネス直結型ブログではないので)

良いのです。(自己満足の極み)

という訳で、唐突に演奏会のお知らせをします。(本当に読みにくい)

上記の、素晴らしい松本望さん作曲/ 谷川俊太郎さん詩「天使のいる構図」が9月11日に藤沢市民会館で聴けます✨

私にお声掛けいただけたらご招待できますので是非。

やっぱり合唱界は、ピアノ界よりずっと辛い空白の1年間がありました。 

本当は去年予定されていたこの定期演奏会、是非沢山の方に聴いていただきたいです(言わずもがな、感染対策はバッチリです)

私はこちらの演奏会で、天使のいる構図の他に、フレッシュな指揮者 真田修平君と「ふるさとの四季」も演奏します🎶

皆様も、この曲や合唱の魅力を体感して、年を取って良かった、いままで生きてきてよかった、これからも年をとっていきたいって思ってもらえたら良いななんて若輩者が偉そうに思ったりしています。

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