行ってきました、トリフォノフリサイタル、2日とも🤣
いや、素晴らしい演奏の感想なんてつらつら書くもんじゃないし、そのつもりも無かったんです。
ただ、あまりにも良くてその余韻を引きずったままレッスンをしている最中、興味がありそうな生徒さん数人に「トリフォノフのコンサートが素晴らしくてねぇ・・・」と興奮して話をしたら思いのほか皆、「行きたかった…」と漏らしていたので、私の記憶が怪しくならないうちに記録しておこうかな…と思い立ちました。
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いやーありゃすごいわ。唯一無二です。世界で引っ張りだこなのも本当にわかる。(※生徒に言ったら「トリフォノフってショパンコンクール3位の人ですよね?」と即座に言った子が居たが←それもすごい😇、トリフォノフのチラシとか経歴とかにそれを掲げられることはないし、今やあのときの1位2位の人誰だったっけ、、?てかそもそも、そういえばトリフォノフってショパンコンクール受けてたんだね、、という感じですよね…言われてあ、そうだったなと思った。経歴一切必要ないわありゃ)
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もともと、去年の6月にドイツに音楽漬けの旅をしに行き🇩🇪その時の目玉、Waldbühneでトリフォノフのラフマニノフのピアコン2番・・・を聞く・・・・
はずだった😭😭😭
なんと手の故障で急遽代打の方になり。(ゲルシュタインが代打でした。ベルリンフィルと仲良しらしい←)
(↑この空気!!!鳥の鳴き声を聞きながら、空の色や雲の移ろい、心地よい風も感じながら、ベルリンフィルの音楽を聴くという。ちょっと今までにない体験だった)
コンサート自体は雰囲気含め大満足でしたが、やっぱりトリフォノフで聴きたかったなー。。と。
その後、ベルリンからミュンヘンに南下していき、ミュンヘンで暮らしている仲良しの同期(※それはもう色んなピアニストの演奏を聴いている)に会ったときにも「トリフォノフ素晴らしいね〜」と話題になり・・・・・
いや、どーーーしても聞きたい!!!!海外行っちゃうか?!?!?
なんて思ってたら日本で2月にやるーーー?!
ということでもう2日間、とっても楽しみに行きました。
2日間別プログラムで、
🌼1日目
・J.S.バッハ(ブラームス編)シャコンヌ BWV1004
・J.S.バッハフーガの技法 BWV1080(全曲)(*コントラプンクトゥスXIIとXIIIは基本形と転回形を両方、またXIVはトリフォノフによる完成形を演奏)
・J.S.バッハ(M.ヘス編)コラール「主よ、人の望みの喜びよ」BWV147
🌼2日目
・チャイコフスキー子供のためのアルバム op.39
・シューマン幻想曲 ハ長調 op.17
・モーツァルト幻想曲 ハ短調 K.475
・ラヴェル夜のガスパール
・スクリャービンピアノ・ソナタ第5番 op.53
こんな、、モリッモリのプログラム。
2日目なんて、19時開演で、終わったの21時半でした😇(アンコール1曲だったし、カーテンコールも長引かずすぐ明るくなって…それ)
体力タフすぎるし、あんだけ全身全霊で音色聴きながらそれだけのプログラム通す…集中力おばけすぎるし、やっぱり頭もすこぶる良いのだろうし、レパートリーも超膨大なのだろうと。、
左手の跳躍がたまに怪しくなったり、とかそういうことで微妙だった、とかとか言っちゃう人は居るのだろうけれど、私はあの何百種類あるんですか?というmp〜ppppまでの多彩すぎる音色、、、チケット代倍払ってもよいな、と思いました。
ただ、fが汚く聞こえたときがあり。あれはピアノ(※ファツィオリ)の問題なのか、それとも。。。(連日、ファツィオリはfの方向のダイナミックレンジが狭い気がした。持ち込みではなさそうだったから2日間それぞれ別のファツィオリだろうけど)
やっぱりまだ手の調子万全ではないのかな?
1日目2日目通して連日そう思った。
ただ、それを全部帳消しにしてしまうくらい、pが綺麗すぎる・・・・・
pが綺麗すぎる・・・・・!!!!
いや、綺麗、という次元ではない、柔らかい、とかでもない、何ですかあれは。もちろん色んなpがあるけれど、まったくうまく形容できないくらいに信じられないくらい色んな想いの駆け巡るp。
“懐かしい”が一番相応しいかも。
pほど、全集中で聞きたくなって、思わず身を乗り出しそうになった。
1日目は、フーガの技法がとにかくメイン。アレを暗譜で弾く人がいるんですね、という、みんなが言うお決まりのセリフを思わず言っちゃうくらい、やっぱりスゴイ。
でも、なんだろう。2日目のほうがトリフォノフの演奏がいきいきしていたことは確かで(少なくとも私はそう思った)、あまりに暗譜に縛られすぎるのもどうなのだろう、一層のこと、譜面を見て完全に安心できる状態での、トリフォノフの魅力爆発のフーガを聴きたかったかも、なんても思った。まぁあれを暗譜で弾くことがまず、すごいよねって評価になるのはもちろん確かに…なんですが。
2日目は、チャイコフスキーの子供のアルバムからのシューマンの幻想曲という前半。
なんだろう。。。この子供のアルバムは、まぁまず子供のコンクールでしか聞かない。し、そういう曲って意外と、ピアニストの演奏を聞こうとあまり思わないから聞いたことがなかった。今回初めて、”ピアニストの弾く子供のアルバム”を生で聴いた。
私は、なんて型にはまった弾き方しか知らなかったのだろう、
なんて自由で、リサイタルで弾けるような曲目で、大人が弾くに相応しい曲なんだろう。
そう思った。、、ホロヴィッツの最後のリサイタル映像でのシューマンの子供の情景を聴いたときと同じように。
やはり、子供の演奏ばかり聞いていると私自身、独創性に欠けてくる。
・・・いや、違うな、そうじゃなくて、
誰かに教える、という作業は、自分の考えを強化して行ってしまうことかも、
そう思ってとても怖いことだな、と。
先生ってどうしても自信を持って教えないといけないし(じゃないと生徒もついて行けないよね)、そうするとこの曲は絶対コレ!みたいなのがなんとなく決まってきちゃう。
そしてそれを無意識に採択し続けて、無意識に他の解釈は排除して考えるようになってしまう。
なんっって怖いことなんだ。たまには子供のやるような曲も私自身じっっくり弾き込んでみたり、ピアニストの演奏を聞きに行ったりせねば、、、もちろんそんなふうには弾けないけれど、他の解釈を聴いて我に返る瞬間というのは絶対に必要だ、、そんなことを思った。
シューマンの幻想曲は、いやーーー3曲目の魅力に初めて気が付いた🥺シューマンの幻想曲はもともと大っ好きで、ずっと弾いてみたかったものの3楽章がネック…というか。1,2楽章は、こう弾きたい!と想いもあるし、弾いていても楽しいものの…という感じだったが、
魅力的な演奏に出会うってこういうことだよな、と思った。
自分の苦手かも、、、と思ってた曲でさえ、弾ける気がしてくると言うか…弾きたい!!と強く思ってしまうというか。(※そして帰宅して弾いてみるとあまりの違いに絶望するのです)
後半のラヴェルよ!!!驚き驚き驚きのオンパレード。絞首台は全く暗くない。おどろおどろしくない。ただただオンディーヌとスカルボの間の間奏曲のような扱いで弾かれる真っ暗な中身のない絞首台はいつも「早くスカルボ行ってくれ」と思いながら時が経つのを待っちゃうけど(※ひどい)今回は泣きそうになった。あまりにも切なくて。オンディーヌよりスカルボより、ずっとラヴェルの和声全開で。。。そっか、こんな曲だったのか、と。
そしてスカルボよ!!!笑 もう、なんか一生聴いていたいなぁ………と思ってた。なんだろうあの誰の真似でもない、ただただ色んなものむき出しで表現していたらああなった、という結果の未だかつて聴いたことのない鬼気迫るスカルボ。耳から無くなっちゃうのが怖くて、帰って急いで楽譜にメモしたけど、そういうんじゃないよなぁ…。はぁ。どう生活してたらあんな考えに至るんだろう・・・
スクリャービンも良かった気がするけどそこまでで既にもう頭パンクしてたから全く覚えてません・・・・・ごめんなさい…😇
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私は正直、今までトリフォノフって好んで聴くピアニストではなくて。それはあまりにも色んなものがむき出しで、何も纏っていなさすぎて怖くて。
でも、今パフォーマンスで弾く演奏家が物凄く多い中だからこそ、そんなピアニストを聴いて驚きとともに物凄く感動してしまった。じわじわ染み込んでいって、これを求めてたんだ、と自分でも初めて知った。もちろんそんな存在ってほぼ居なくて、国宝級なのだけれど、こういうピアニストの演奏こそを一生、聴いていたいなぁ。と思いました(※トリフォノフはまさかの私と同い年です😇😇なんということ)
でも一つ確実に言えるのは、
トリフォノフは圧倒的に生演奏ですね!!!!
YouTubeや音源じゃ良さ全く伝わらん。
次いつ日本に来てくれるかはわかりませんが、そのときは絶対周りに告知しまくろう・・・と思った(※私は一人で行きたいけど)
(↑日本では珍しく、カーテンコールでの撮影オッケーだったから撮った。けど案の定な仕上がり・・・)
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前に同期に教えてもらったトリフォノフのインタビュー。
かなり昔のインタビューですが、水の中での動きからの取り入れや、椅子に完全に寝転んでの練習など・・・かなり興味深かったです。シェア。